あるメーカーを興した社長がいました。当初は望むだけの仕事を十分に得ることができなかったそうです。そこでやむなく、大手企業の下請け仕事で食いつなぐことにしました。
大手企業の業績は堅調で、この会社からの受注量が増えていったため一見、会社は順調に成長しているかのようでした。
しかし実は毎年大手企業からはコストダウンを要求され採算性は悪化の一途でとても理想の姿とは言えない状況にありました。
採算性が悪くなったため、質を量で誤魔化すがごとく、もっと仕事を増やさねばと他の大手企業から割に合わない仕事の受注を増やしていったそうです。
当たり前の結果なのですが、忙しいばかりで経営者も従業員も疲弊していったといいます。
社長は、急場を乗り切るために自ら現場に出て仕事をこなしたそうです。
あるべき姿が他にあると知りながら今の状況に甘んじたそうです。やってもやっても儲からない『地獄』であったと言います。